今日は、みんなに向けてのお話。
部活、サークル、会社。
仲間との良好な関係を築き、
維持するためのお話です。
「優しい人がいいです」
・恋人にしたい人はどんな人ですか?
・結婚相手に求めるものとは?
・理想のパートナーは?
この手の質問の答えとして、
必ず上位に来るのが
(というかほとんど1位に来ると思いますが)、
この「優しい人(がいいです)」というフレーズ。
すいぶん昔から変わってないように思いますが、
令和になって、
圧倒的にこのフレーズが上位に来るように
なったように思います。
(昭和の時代は“三高(”さんこう“と読みます)”といって、
高身長、高学歴、高収入なんて要素が
上位に来ることもありましたが、
今はあんまり聞かれませんね)
僕の講座でも、
似たような質問をすることが、時々あります。
「どんな人と仲良くなりたいですか?」
「チームに招き入れたい人はどんな人ですか?」
「仲間にしたい人はどんな人ですか?」
「優しい人が良いです」
やっぱり、
こう返ってくることが多いように思います。
「ってことは、自分自身も“優しい人”なんだよね?」
「……」
返事が返ってきません。
「え? 他人には優しいを求めるのに、
自分は優しくないの?」
「優しくないとは思いませんが、
“優しい人”と思われているかと言えば、
自信ないです……」
「あら、そう。自信ないの?」
「自信ないですね……」
そうなんです。
“優しくないとは思わないけど、
“優しい人”と思われてるかと言えば、自信がない“
こういう感じです。
「優しい人が良いです」が
世の中に広まるにつれ、
なんだかハードルが上がってしまったような
気がしませんか?
優しい人じゃないといけない。
優しい人にならないといけない。
強迫観念に近いものがあるようにも感じます。
「優しい人じゃなくていいんだよ」
僕が講座でこんな話をすると、
“先生、何言ってんの?”という
空気感満載で、
怪訝な顔をする学生がたくさんいます。
「優しい人が好きなんじゃなくて、
優しく振舞ってくれる人が好きなんでしょ?」
「優しい人って言うか、
優しさを自分に表現してくれる人が好きなんでしょ?」
「優しいって、
性格や人格じゃなくて、
行動や振る舞いなんじゃないの?」
こう言うと、
「ん?」というリアクションが返ってきます。
怪訝な表情が、少し和らぎます。
「みんな、どう思ってるか知らないけど、
僕は優しくないからね。
どっちかというと厳しい人。
それは自分でもわかってる。
ただ、他人が“優しいな”と思う
振る舞いや行動、表現ができるってだけ」
“あ~確かに”
というリアクションが返ってくるので
複雑な心境になりますが、
ま、本当のことなので。
「先生って、厳しい人だけど、
優しい時もありますもんね。
どっちがホント? て思う時あります」
「どっちもホント。
っていうか、どっちかじゃないからね」
僕に慣れた学生は
上手にツッコんでくれるので、
返しがしやすくて助かります。
「どっちがホント? って考えるのは、
性格とか、人格がどっち? って意味でしょ?」
「違うんですか?」
僕に慣れた学生は、
こうやって食い下がってくれるので、
返しがしやすくて助かります。
「厳しいとか優しいとか言うけど、
厳しく振舞ってる、
優しく振舞ってるにすぎない。
これってスキルだかんね」
ツッコむことを忘れて
不思議そうな顔をしているので、
さらに畳みかけます。
「スキルっていうと難しいかな。
さっきも言ったように、
“優しく振舞ってくれる人”
“優しさを自分に表現してくれる人”って、
そういう行動や振る舞いなわけでしょ。
そういうことが分かって行動してる。
だからスキルみたいなもの」
こうなると、僕の話は止まりません。
みんなが分かってるか分かってるかは置いといて、
どんどん話を進めていきます。
優しく振舞うとか、
優しさを表現するとか、
実際に行動したり振舞ったりする前に、
周りの人のことをよく観察してるわけです、
そういう人って。
“いつもと違って元気がないな”
“あれ、今日はメガネかけてるな”
“髪切ったんだ。スッキリしたな”
それから、行動するわけです。
「あれ? もしかして元気ない?」
「今日、メガネなんだね? 普段はコンタクトだったんだ」
「スッキリしたね。カラーも入れた?」
言われた方は嬉しいですよね。
何が嬉しいって、
“自分のことを気にかけてくれてる”ってことがです。
褒めてるわけでもない、
優しくしてるわけでもない。
気にかけてくれて、
声をかけてくれた。
それが嬉しいわけです。
そんな行動や振る舞いが嬉しいと感じるから、
“この人は優しい人だな”と思うわけです。
「優しい人がいいです」
この言葉を真に受けて、
自分でハードルを上げなくていいんです。
人格や性格のことじゃないんですから。
部活、サークル、アルバイト。
会社だって、取引先だって、同僚だって。
周りを見渡して、
仲間を見渡して、
よく観察してみることです。
じっくりじゃなく、なにげなく。
“あ、いつもとちがうな”
“あ、昨日と違うな”
何か感じることがあるはずです。
その感じたことを伝えてみる。
それを相手は、
“気にかけてくれた”、と感じるんです。
“気にかけてくれた”、と嬉しくなるわけです。
優しい人になる必要はありません。
優しくできる人になればいいんです。
あ、でも“優しい”という言葉を使うと、
またハードルが上がっちゃいますね。
あらためて言います。
周りを見渡す。観察する。
まずは、近くの人から。
気にかける。
声をかける。
いろいろな考え方があるかと思いますが、
“まずはそこから始めてもいいかな”と
思えたなら、
ぜひチャレンジしてみてください。